校長メッセージ

ひとりの人間として自立するための資質を身に着ける6年間

横浜共立学園は、1871(明治4)年、米国婦人一致外国伝道協会から派遣された3人の女性宣教師、プライン、クロスビー、ピアソンによって設立されました。女性宣教師たちは、当時、人々にかえりみられることが少なかった女子の教育に光を当て、キリスト教精神に基づく人格教育を始めました。そして創立以来、「主を畏れることは知恵のはじめ」(箴言1章7節)、「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい」(ルカによる福音書10章27節)という聖書の言葉を根幹に据え、神に愛されていることを知り、愛と喜びをもって隣人に仕え、世界の平和のために貢献する女性の育成に取り組んでいます。

キリスト教の価値観は、数千年の歴史が裏付けてきた、世界的に普遍性を持つ価値観です。現代のグローバル時代において、世界の人たちと共有する価値観を身に着けていることは、互いを理解する上でも大きな財産となるでしょう。「主を畏れる」とは絶対者である神を知ることであり、それは自分が中心なのではないことを知ることです。そして、自分が無条件に愛されている、かけがえのない存在であることを知り、神の愛のうちに生かされていることに心を向けることでもあります。そのことによって、神を愛し、隣人を愛する心が整えられていきます。高い学力や能力を身に着けることが自分のためだけでなく、隣人に仕えるためでもあるという価値観が身に着いていくのです。
学園の一日は毎朝の礼拝で始まります。また、聖書の授業が週一時間あります。クリスマスやイースターなどの特別礼拝、「国際理解週間」や「ハンセン病を正しく理解する週間」などの宗教行事も充実しています。これらの活動を通して、神を畏れ、人々を愛し、喜びをもって他者に仕える心が育まれていきます。
学園は創立以来、女子教育に取り組んできました。男女別学には、それぞれの個性を安心して表現できる環境があります。様々な活動を通して、互いの個性を認め合い尊重し合える関係が作られ、他者を理解し、共感する心が養われていきます。女子教育において先駆的な歴史をもつ本校で学ぶことによって、それぞれの在り方や生き方を深く見つめる目が養われ、ひとりの人間として自立するための資質が身に着いていきます。
また、教科教育においては、授業の学習で十分な学力を身に着けさせることに重点を置き、基本的な学習習慣が身に着くよう、一人ひとりに寄り添いながら丁寧な指導を重ね、学力の定着を図っています。授業では、問題集などの副教材を活用した内容の濃い学習が進められ、自ら進んで学びを深める力が一人ひとりに備わっていきます。生徒は互いに支え合い、高め合いながら、向学心に富んだ雰囲気の中で学習に取り組み、確かな学力を伸ばしていきます。6年間を通して身に着けた学力は、言語力、論理的思考力、表現力を支えるものであり、大学進学だけでなく、将来の働きや学びの確かな土台となっていきます。

横浜共立学園中学校高等学校
校長 小澤伸男

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